防音室を設えたこちらの住居は、音楽家のためにつくられました。
建築家に「音楽居間」と名付けられた防音室は、「いかにも防音室」の仕上材を使わず、吸音材や、防音のために天井には設置しづらい照明を、インテリアとして効果的に見せられる吊天井に備え、壁面や天井は塗り壁のダイアトーマスで仕上げることで、居心地の良い居間としての設えを実現しました。

冷暖房設備は輻射冷暖房システム「パネルシェード」を採用。
エアコンの風や急激な温度変化に不快感を覚えることが無く、自然な室内環境を保つことが可能です。
輻射パネルと室温の温度差が冷暖房効果の元となるため、稼働音が静かな点も嬉しいポイント。電源を切った後でも、部屋全体を温めた後にはしばらく温かさが続き、部屋全体を冷やした後には冷たさが続きます。
余計な装飾のない家具のような景観は、トーンを合わせたインテリアの邪魔をすることなく、違和感なく室内に溶け込んでいます。

リビングの天井高を取るために、水回りは中二階に集結。
2階の個室と洗面室は大容量の壁面収納で区切られ、壁を天井まで塞がないことで広がりのある空間に。
建築家のアイデアでコンパクトながらも使い勝手の良い間取りを実現しています。

同じ大きさの窓が美しく配置された外観は、リズミカルな中にも洗練された佇まいを演出し、内部にも均一の優しい光を落とします。
造作はニュアンスのあるグレーの色味や、マットな質感にこだわり、それは一貫してキッチンや洗面の設えにも反映されています。

全てに統一された無駄のない有用性のあるデザインは、穏やかな美しさを携えた、心地よい空間を造ることに寄与しています。