こんにちは。家のコトは生きるコト※1 コーディネーターの滝島です。「家を建てる」とき「暮らしをつくる」を意識して、暮らし・家事の目線から「いえのこと」を考え、お施主様の理想の家づくりのお手伝いをしております。
今更ですが、弊社は「フルオーダーの注文住宅」を施工しています。これは一言で”注文住宅”といっても、間取りが変更できる”自由設計”やセミオーダーと称して部分的に変更できるような「概ね注文できる住宅」と違って、間取りはもちろん、仕様材や設備なども自由に注文していただけるという意味の「フルオーダー」です。
家を一件建てるには、設計は当然ながら、建物の性能面や設備の選択、そして色決めや素材の検討など、数えきれないほどたくさんの事を決めていただく必要があり（弊社では打合せの回数も決まっておらず、打合せ期間も長くいただきます）初めて家づくりをするお施主様には、かなりご負担が・・・と思いますが、打合せをしている皆様のご様子を見ると、あはは、おほほといつも楽しそうな笑い声でいっぱいでございます。笑
そもそも建物にこだわりを持った方が「家」という大きな買い物を、自分達の思い通りにするのだから、楽しいに決まっているではないかと、思われるかもしれませんが【家づくりは暮らしづくり】ただ家を買う＝手に入れるということではなく、お施主様の今から未来へ向けて話をしプランを検討していく、丁寧に創っていくという過程を経ているからこその、満足感と充実感があるからではないかと思えてきました。「フルオーダーの注文住宅」は図らずも「家づくりの過程に重きをおいている住宅」という結果な訳です。
そこで突然ですが、「西の魔女が死んだ」※2という梨木香歩著書の小説を思い出しました。2008年には映画化もされています。
繊細さゆえ、学校に通えなくなってしまった中学生の女の子”まい”が、「西の魔女」ことイギリス人の祖母と自然がいっぱいの祖母の家でひと夏を過ごし、自分を取り戻していくストーリーで、祖母曰く”魔女の血筋である”まいは、祖母から魔女修行の手ほどきを受けるのですが、教えてもらった言葉がなんだかぐっときます。
「悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。」
そこでの生活は、自分で起きる時間を決めたり、ジャムを作ったり、洗濯したり、自分の好きな場所を見つけたりで、実際に魔術を習ったりする訳ではないのですが、まいは”魔女＝強い自分”になっていきます。自然豊かな田舎生活だからということではなく、肝心なのは「自分で決め行動する」ことの大切さであるような気がします。自分軸を作ることで「生きづらさ」を感じていた”まい”は、逞しくなっていくのです。
そう思い自分を振り返ると、便利だったり高性能だったり最新なものを、流れのままに選択してよいものなのかどうか・・・疑問が湧いてきます。シンプルな事を粛々と行う事が自分にとって力になる・・ということの重要性を見落としてしまいそうだからです。
そしてそれは次の世代にも伝わっていくということを、忘れてはいないかと。
例えば家づくりでいえば、自動で水が流れるトイレは便利だけど、子供も使用する自宅に必要かしら、と思ったりします。
しかし食器洗浄機だと、贅沢品ではないか子供にもお手伝いの機会を減らしてしまわないかと思う反面、自分には絶対必要な物！と思ったり・・でしょうか。（私は絶対欲しいです笑）
「注文住宅では1万回の決断が必要」とお施主様から伺ったことがあります。（まさにその通り！）気が遠くなりそうですが、もしかして自分軸ができていれば、案外なんでもすんなり決められるのかもしれませんね。
ちなみに決めるのが大変で自分にはとても無理！と思われる方でも、弊社はたたき台となる標準仕様があり、コーディネーターが同席して少しづつ決めていきますので、ご心配なく！
さて、あなたがご自身のご希望の住まいを創るため、決めたことは何ですか？
ということで・・・次回もお楽しみに！
※1「家のコトは生きるコト」とは、生活哲学家である 故 辰巳渚 が主宰する「家事塾」の理念です。筆者は家事塾での学びをもとに記事を書いています。
※2 西の魔女が死んだ 梨木香歩／著 新潮文庫
装幀 早川司寿乃／カバー装画、新潮社装幀室／デザイン